低侵襲・新治療開発による個別化癌医療確立

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21世紀プログラム「低侵襲・新治療開発による個別化癌医療確立」
事業完了にあたって

慶應義塾大学 21世紀COEプログラム
「低侵襲・新治療開発による個別化癌医療確立
拠点リーダー 河上 裕
慶應義塾大学大学院医学研究科
先端医科学研究センター 細胞情報研究部門 教授

河上 裕本拠点「低侵襲・新治療開発による個別化癌医療確立」は、文部科学省が重点的な支援を行うプログラムとして発足した21世紀COEプログラム医学系分野プログラムです。現在、日本では、男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんに罹り、毎年30万人以上の患者のうちの約半数が完全に治癒できず、がんは死因第一位となっており、高齢化とともに増え続けるがんに対する新しい予防・診断・治療法の確立が急務となっています。また、近年、新しい治療開発や医療提供においては、様々なレベルでの問題のために、いわゆるがん難民という社会的問題にもなっています。

近年、医療では、Evidenced based Medicine (EBM)が重視され、画一的な治療法による臨床試験での統計学的有意差の証明による平均的な治療法が確立されつつありますが、がんの病態は、がん細胞自体および患者さんの体質の多様性のために個々の症例毎に異なるので、個々の患者さんに最良の医療を提供するためには、がんと体質の両者を考慮した個別化医療(Personalized medicine)が理想的です。しかし、現在のがん医療は、まだその初期段階であります。本拠点では、慶應義塾大学における今までの研究実績を最大限に活かして、特に基礎研究成果を早期に医療として実現するためのトランスレーショナルリサーチに焦点を当てて、世界的な拠点形成による、がんの個別化医療の確立を目指しました。

個別化治療を可能にするためには、まず、がん細胞の性質や進展度、また患者さんの体質の正確な診断が必要であり、また、標準的治療(外科・化学・放射線療法)の改良だけでなく、新しい機序に基づく新治療(免疫・遺伝子・分子標的治療など)の開発が重要です。さらに、多くのがん治療には副作用を伴うため、最小限の侵襲で最大の効果を生む低侵襲治療の開発も重要です。そのために本拠点では、最初は、1) 診断法、2) 低侵襲治療、3) 新治療の3領域に大きく分かれて、しかし、全メンバーが本拠点を通じて横断的な共同研究を促進できる組織体制を構築しました。多様ながんと戦うためには、広範なアプローチを用いた戦略がどうしても必要で、研究成果報告書に記載されていますように、様々な研究を進めました。しかし、中間評価での、「より焦点を絞った連携研究への期待」にも対応して、本プログラム後半は、前半の研究で得られた成果のうち、早期の臨床応用が期待できるプロジェクトに力を注ぎました。すなわち、1) 癌細胞性質・患者体質に基づいた投薬の個別化、2) センチネルリンパ節に焦点を当てた診断・治療法の開発 、3) 内視鏡外科における触覚技術と高機能手術鉗子の開発 、4) 凍結融解療法と免疫療法を中心とした新規低侵襲治療の開発、の4テーマです。

このような臨床試験を介した臨床研究の実践には、多大な資金、時間、そして努力が必要です。本拠点では、慶應義塾大学信濃町キャンパスの慶應大学病院と総合医科学研究センターを中心に、多くの外部資金も取得して、トランスレーショナルリサーチを実施しましたが、本プロジェクトを効率よく推進するために、臨床用細胞・遺伝子作製施設、内視鏡・ロボット手術トレーニング施設、包括的検体保存管理施設、医工連携施設などの最先端施設の整備に加えて、理工学研究科との連携、連携大学院などを介した学外研究機関との連携、総合医科学研究センター内リサーチパークでの企業との連携を強力に推進しました。

その結果、本拠点では、本報告書に具体的に記載されていますように、今後の臨床応用が期待できる様々な基礎研究成果(シーズ)を得て特許出願・取得しただけでなく、新しい診断法(抗がん剤感受性試験や薬物代謝測定による抗がん剤個別化投与法の開発、センチネルリンパ節診断法や内視鏡ロボット低侵襲手術法の開発による低侵襲手術法の確立など)や治療法(低侵襲凍結融解療法や免疫療法の開発など)の臨床試験を実施評価し、新規治療ガイドラインの作成、他施設共同臨床試験、先進医療、臨床治験への準備という、臨床試験実施による具体的な成果をあげてきました。多数の医学系21世紀COEプログラムの中で、単なる生命科学・医学研究でない、この臨床研究成果は注目されるべきものと考えています。また、本拠点では、広範にわたる基礎腫瘍医学コースと、横断的連携による高度な研究を可能にする研究交流会による大学院生教育を新しく構築し、また、定期的海外テレカンファレンスや海外研究者との交流活性化により、がんトランスレーショナルリサーチの次世代の担い手となる、国際性豊かな若手医師や研究者の養成にも努力してきました。本拠点で育った若手は、将来必ず、世界におけるがん医療に貢献してくれると信じています。我々は、本プログラム終了後も、本拠点で構築した最先端施設や、先進的ながんトランスレーショナルリサーチ研究教育体制をさらに発展させ、がん研究の益々の活性化とともに、理想的ながん個別化医療の確立に向けて最善を尽くす所存でおります。

最後になりましたが、5年間の医学COE「低侵襲・新治療開発による個別化癌医療確立」プログラムに全力で取り組まれ顕著な成果を上げられた博士課程学生・若手医師、研究者の皆さんに心より御礼を申し上げます。また、プログラム立案当初から強力なリーダーシップを発揮された北島政樹前拠点リーダー・名誉教授、事業推進担当者の方々、様々な形で、本プログラムに関わってくださった皆様に心より感謝申し上げます。

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